税理士という資格にはさまざまな魅力があれば、リスクも存在します。
いい面だけでなく、税理士を目指すなら違う側面も当然知っておくべきでしょう。
税理士試験は難関国家試験で知られており、科目選択制、科目合格制であっても、
一つ一つの科目の難易度が高い資格です。
初学者から1年で合格することは不可能に近く、また一回で5科目すべて取得することも相当程度困難です。
少なくとも2年。長くて10年以上かかる場合も少なくありません。
科目合格制で、一回取得した科目は永久だといっても、5科目合格しないと税理士となる資格を有しないわけです。
試験合格までには、たくさんの時間・労力・金銭・機会損失が発生します。
そこまでして、取得したい資格なのか、よく見極める必要があり、取り返しの付かない貴重な時間を棒に振る可能性も少ながらず秘めています。
年度 | 登録者数 | 増加者数 | 増加率 |
---|---|---|---|
昭和35(1960)年度 | 10,888 | - | - |
昭和40(1965)年度 | 15,827 | 4,939 | 31% |
昭和45(1970)年度 | 24,024 | 8,197 | 34% |
昭和50(1975)年度 | 32,436 | 8,412 | 26% |
昭和55(1980)年度 | 40,535 | 8,099 | 20% |
昭和60(1985)年度 | 47,342 | 6,807 | 14% |
平成2(1990)年度 | 57,073 | 9,731 | 17% |
平成7(1995)年度 | 62,550 | 5,477 | 9% |
平成12(2000)年度 | 65,144 | 2,594 | 4% |
平成21年(2009)2月末日現在 | 71、099 | 5,955 | 8% |
1960年には1万人強しかいなかった税理士登録者が2009年には7万人を突破しました。
企業であっても、個人であっても収入を得れば税金が発生し、税金が関係すれば、
税理士がかかわることになりますが、企業数は減少傾向で、人口減少の中で、
税理士登録者が増え、以前よりパイの奪い合いが激しいのは事実です。
また、税理士登録ができる、弁護士や公認会計士も合格者が急激に増えてきてますし、
団塊の世代の税務署OBの大量退職と、競争の激化が予想されます。
(税理士登録している弁護士は少数のようですが、公認会計士は独立している人は登録してる人が多いようです)
これまで、報酬が一律で決められ、営業広告は規制されていましたので、
料金で差をつけたり、サービスで差をつけたりと営業努力をせずとも、ある程度顧客を獲得し、
そこそこの売上が期待できました。
しかし、時代は変わり、税理士法人の誕生、広告規制の撤廃、料金体系自由化と、一般企業同様の競争にさらされて来てます。
また、平成16年から電子申告・納税(e-Tax)制度が始まりました。
こういった規制緩和に対応できない税理士は淘汰されることとなり、格差が生まれています。
税理士業界は、半分以上が60歳代以上と高齢業界で、20〜30代は2割にも満たない状況です。
比較的変化に対応出来やすい若い世代は逆にこの流れはチャンスなのかもしれません。
医療ミスで医師が訴えられたり、教師がモンスターペアレンツに訴えられたりするニュースをよく聞きますが、 税理士も例外ではなくなっています。
税理士のミスによって、依頼者に損害を与えることにより、訴えられるというケースがあるようで、
消費税関連の損害賠償請求が多いようです。
税理士損害賠償保険というものもあり、税理士もミスによって訴えられるという
訴訟リスクを抱えている職業だと認識する必要があります。
税理士は「脱税相談等の禁止(税理士法第36条)」や「信用失墜行為の禁止(税理士法第37条)」「秘密を守る義務(税理士法第38条)」などさまざまな義務を負います。
これらに違反した場合は、戒告や1年以内の税理士業務の停止、税理士業務の禁止などの懲戒処分を下されることになります。