税理士という資格にはさまざまな魅力があります。
税理士という難関資格を取得するにあたり、税理士の魅力はモチベーションのアップと維持の一助になるでしょう。
税理士の使命に、
「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする」(税理士法第1条)
とあり、
税は、公共のサービスを提供し、富の再分配機能を有するなど、公益性が非常に高い機能であり、
税理士の仕事をすることにより、税務の専門家として、国家の運営の基礎となる納税義務の適正な実現を図ることができ、税務相談等を通して、国民の権利と財産を守ることができます。
●税理士法第52条(税理士業務の制限)
●税理士法第2条(税理士の業務)
税理士は、他人の求めに応じ、租税(印紙税、登録免許税、関税、法定外普通税(地方税法(昭和25年法律第226号)第13条の3第4項に規定する道府県法定外普通税及び市町村法定外普通税をいう。)、法定外目的税(同項に規定する法定外目的税をいう。)その他の政令で定めるものを除く。以下同じ。)に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。
- 税務代理
- 税務書類の作成
- 税務相談
税理士の代表的な仕事といえば、税務(税務代理、税務書類作成、税務相談)ですが、
税理士法第52条により、税理士でないと行えません。
税務業務は、たとえ無償であっても税理士以外が行うと税理士法違反となる無償独占業務です。
無償だからといって医師ではないものが医療行為を行ってはいけないのと同じです。
●税理士法第53条(名称の使用制限)
- 税理士でない者は、税理士若しくは税理士事務所又はこれらに類似する名称を用いてはならない。
- 税理士法人でない者は、税理士法人又はこれに類似する名称を用いてはならない
- 税理士会及び日本税理士会連合会でない団体は、税理士会若しくは日本税理士会連合会又はこれらに類似する名称を用いてはならない。
- 前3項の規定は、税理士又は税理士法人でない者並びに税理士会及び日本税理士会連合会でない団体が他の法律の規定により認められた名称を用いることを妨げるものと解してはならない。
また、税理士ではないものが、税理士と名乗ってもダメです。
53条にあるように、「類似する名称を用いてもならない」というのもダメのように、紛らわしい名前もアウトです。
このように、法が定めるところにより、高い参入障壁が存在します。
税理士の仕事の需要は上記の参入障壁があるように、ライバルは資格取得者に限られ、
また、税務などの業務の性格上、好不況を問わず、都市部や地方に限らず需要があります。
ただ、会計業務やコンサルティング業務等は他の資格等との競争があり、
また、税理士数が多いため、以前と比べて競争は激しいですが、仕事がなくなることは考えにくく、
比較的安定職業ではあります。
税理士は、独立開業がしやすい資格です。
資格を取得し、実務経験を積めば、一人でも顧客を獲得し、収入を得ることが可能です。
独立は一国一城の主でありますから、自分で仕事量を調整することができ、稼ぎはそこそこでいいと思えば、最低限の仕事をすればいいですし、 逆にたくさん稼ぎたいなら努力・営業力次第でいくらでも報酬を増やすことが可能でしょう。
●税理士法第2条の2
- 税理士は、租税に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をすることができる。
- 前項の陳述は、当事者又は訴訟代理人が自らしたものとみなす。ただし、当事者又は訴訟代理人が同項の陳述を直ちに取り消し、又は更正したときは、この限りでない。
平成13年の税理士法改正により、税理士が活躍できるフィールドが広がり、
これまで弁護士しかできなかった、税務訴訟ですが、補佐人制度ができたことにより、
補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに裁判所に出頭し、陳述をすることができるようになりました。
これにより、申告から訴訟まで一貫して、税理士が関与できるようになり、さらに活躍の場が広がったと言えます。
他にも、地方公共団体の外務監査や、現物出資等の評価証明、成年後見制度、会計参与など活躍場はどんどん広がっています。
税理士は国家資格ですので、その高い専門性により、知識があれば、
男性であろうが、女性であろうが関係なく活躍できます。
ここ4年の女性合格者数と割合は次のとおりです。
年度別 | 受験者数(割合) | 科目合格者数(割合) | 最終合格者数(割合) | 女性の最終合格率 (男性の最終合格率) |
---|---|---|---|---|
平成26年 | 10,086 (24.6%) | 1,654 (27.6%) | 230 (25.3%) | 2.28% (2.19%) |
平成25年 | 11,104 (24.5%) | 2,108 (28.3%) | 229 (25.3%) | 2.06% (1.97%) |
平成24年 | 11,837 (24.6%) | 2,346 (26.2%) | 304 (27.5%) | 2.57% (2.20%) |
平成23年 | 12,082 (24.4%) | 2,074 (26.0%) | 272 (24.9%) | 2.25% (2.19%) |
平成22年 | 12,827 (24.9%) | 1,946 (26.1%) | 291 (29.1%) | 2.27% (1.83%) |
平成21年 | 13,045 (25.3%) | 2,167 (30.5%) | 317 (29.9%) | 2.43% (1.93%) |
平成20年 | 13,292 (25.6%) | 2,344 (28.5%) | 268 (27.8%) | 2.01% (1.80%) |
平成19年 | 13,788 (25.9%) | 2,137 (28.8%) | 315 (31.1%) | 2.28% (1.77%) |
平成18年 | 14,280 (26.3%) | 2,655 (30.4%) | 345 (30.6%) | 2.42% (1.97%) |
平成17年 | 14,845 (26.4%) | 2,541 (29.3%) | 353 (33.5%) | 2.38% (1.69%) |
女性受験者数の割合は毎年4分の1強ですが、女性合格者数の割合(科目・最終)はそれを上回っており、 最終合格率(五科目)は男性のそれより毎年上回っております。
こうやって見ると、女性受験者の優秀さがわかります。
女性ならではのきめ細かさや、気配りなどが、女性のみならず男性依頼者にとっても心強いことでしょう。
また、自分で仕事量を調節することも可能ですので、育児と仕事の両立もしやすい職業でしょう。
独立開業や、税理士事務所、税理士法人だけでなく、一般企業に就職・転職する際においても
強いアピールになるでしょう。
経理部がある企業がほとんどでしょうし、財務部など企業において活躍できるでしょう。
税理士試験には簿記論及び財務諸表論、所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税が出題されます。
すべて受験するわけではないですが、必修科目で会計科目である、簿記論や財務諸表論を学ぶことにより、
お金の流れや会計学が学べ、税法を学ぶことにより、この国の税体系が理解できるので、
社会生活においても教養という点においても資格の勉強をするメリットがあると思います。
もし、不合格になり方向転換することとなったとしても、勉強した事実は残りますので、
何かの役に立つことでしょう。